テリトリー権
フランチャイザーがフランチャイジーに対し与える、特定の地域への独占的な出店権や販売権、営業権のことをテリトリー権と言います。
この権利をフランチャイジーに与えると、当該フランチャイジーに与えたテリトリー(商圏)内にはそのフランチャイジーの承諾がない限り、他のフランチャイジーを出店させることはできません。
このテリトリー権によってフランチャイジーに保障される内容は契約によってさまざまです。
例えば、
1.その地域の完全な独占的営業権を付与するもの(クローズドテリトリー)
2.一定の条件を満たせば、新たなフランチャイジーの参入を認めるもの
3.出店数の上限を定めるにとどまるもの(オープンテリトリー)
があります。
また、保障期間もさまざまで、契約締結中継続して保障されるとするものや、一定の期間のみ保障されるとするものがあります。
フランチャイザーとフランチャイジーは同一のブランドを商品、サービスとしているとはいえ、それぞれ独立した事業者です。フランチャイザーとしては、出店件数を増やすためにテリトリー権を認めない方が良いと考える一方で、フランチャイジーとしては、自店の売上を伸ばすために自店の周りに他のフランチャイジーが出店しないことを望むためテリトリー権を認めて欲しいと考えるでしょう。
近年では、オープンテリトリー制をとるフランチャイズが増えてきていると言えます。ただし、オープンテリトリー制にもデメリットがあります。
それは、同一ブランドの商品やサービス同士で競合状態となり、価格競争が起きるため、消費者を混乱させ、そのブランドイメージが悪化してしまう恐れがあるということです。
このように、フランチャイザーは、自社の業種業態に合ったテリトリー制を考えた上で、その有無、範囲、期間等について設定をすることが必要となります。
なお、公正取引委員会のフランチャイズ・ガイドラインでは、「本部が加盟店または直営店に関わらず、同一または類似した業種を含む店舗を周辺の地域に出店させることができるか否かに関する契約上の条項の有無およびその内容並びに計画の有無およびその内容についても事前に開示がなされることが望ましい」としています。
また、中小小売商業振興法では、一定のフランチャイズビジネスに関し、「本部事業者が加盟者の店舗の周辺地域に同一または類似の店舗を営業または他人に営業させる旨の規定の有無及びその内容」を書面に記載して説明すべき義務を定めています。
フランチャイザーは設定したテリトリーの内容をフランチャイジーになろうとする者に説明をした上で契約条項に明文化しておくことが大切です。それだけでなく、実際の運用が始まった後のさまざまな状況の変化やトラブルが生じることを考慮して、その時のための対応についても契約書に規定しておくと良いでしょう。
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